純丘曜彰教授博士: ニュースの蜂

『朝まで生テレビ!』の元ブレインが、硬派ジャーナリズムの精神に基づき、
浮き世の暇つぶし、憂ばらし、肝だめしに、大手の新聞やテレビがひよって
伝えないネタを、勝手取材、執着調査、偏屈考察で突き刺しまくります。 

2012年02月

高税は地下経済の温床


/高税のイタリアでは、取引を無かったことにするネーロが横行し、雇用までもが闇経済化してしまっている。日本でも、税金を上げれば、むしろ領収書を切らず、納品貸倒損失として処理する闇経済を助長させるだけではないのか。/

 この時期、研究費の精算のために領収書を整理する。レシートからなにから何でも取ってあるのだが、さて提出となると、オークションやマーケットプレイスで買ったものに領収書が無いものが少なくない。いや、なくしたわけではない。よく見ると領収書ではなく納品書だったり、あたかも領収書であるかのように金額が書かれていながら、領収書、領収しました、などの文言がなかったり。通販でも、領収書を出してもらうのに、多額の発行手数料なるものを追加請求しているところが最近は目立つ。さて、その発行手数料分の領収書を出してもらうのにも、また発行手数料を取る気なのだろうか。
 
 じつは、これには先例がある。イタリアだ。現在、イタリアの付加価値税は21%。その結果、みんなが踏み倒す方向に向かった。20%以上もの税金を払うくらいなら、10%引きにするから、おたがいネーロ(闇)にしないか、と持ちかける者が増え続けた。領収書を切らず、現金だけをやりとりして、取引は無かったことにし、納税の義務そのものを消滅させる。これに対して、政府は、購入者は店に対して領収書を請求し、その領収書を店の外まで持って出なければならない、と義務づけ、これに違反する購入者の方に、最高十五万円もの罰金を科して取り締まることにしたが、取り締まりが追いつかない。
 
 このラヴォーロ・ネーロ(闇仕事)は、いまや雇用にまで及んでいる。つまり、なにごとも無料のボランティア、ということで仕事をする。実際は現金が払われるが、それはあくまでチップ。表向きは雇っていないことになっているから、雇用側は所得税などを源泉徴収して納税したりしない。雇用が継続されることもないし、事故があっても雇用側は知ったこっちゃない。イタリアの失業率は、現在9%近い高さだが、それでも、みんながなんとか生活できているのは、裏にこんなカラクリが潜んでいるからだ。こんな調子では、名目上の数字はどんどん悪化し、国家財政が破綻するのも当然。そして、このような裏経済は、表経済を蝕んでいき、社会保障も、雇用制度も、根底から崩れていく。
 
 日本でも、『マルサの女』にも出てくるように、裏帳簿を作ったり、レジに打たなかったり、レジが2つあったり、と、取引そのものを無かったことにする脱税は昔から横行してきた。近年の消費税も、購入者からはすでに購入時点で徴収していながら、店の方が年度の納税時期を過ぎても延滞するのなら、実質的には政府が消費税分を無条件で店に貸し付けているに等しい。まして、領収書を切らず、納品はしたもののいまだ集金できてないかのように装い、売掛金の二年時効で貸し倒れ損失として処理するなら、購入者から消費税分を預かりながら、店側が消費税分をまるまるネコババできる。そして、この不正のうまみは、むしろ消費税率が高いほど大きくなるのだ。

 べつに、細々としたことを言い立てる気はない。だが、近郊農家の野菜の野積み販売など、領収書の出ない現金取引は、あちこちにある。それが、いまや個人のネット商売として、爆発的に広がりつつある。ひとつひとつは小さな金額でも、総計したら、どれだけのものか。いや、経済とは、そういう細かな取引の積み上げそのものじゃないのか。
 
 なんにしても、まともに領収書を出さない野郎どものせいで、正直者が自腹を切らされたり、ネコババするための消費税分を余計に払わされたりするのは、まったく不愉快な話。そのうえ、政府が増税で税収増加ができると勘違いしているなら、日本もイタリアやスペインなみのネーロ経済へ落ちて、さらに社会不安に陥るだけじゃないのか。


by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士 (大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン)  

清盛たちをぶっ潰せ!


国民的番組のはずの大河ドラマ『平清盛』の視聴率が第5回ですでに16.0%しかない。だが、その低視聴率さえ、世間で話題にならない。このままだと、『花の乱』(94年、平均14.1%)や『竜馬がゆく』(68年、14.5%)さえも割り込み、前半にして歴代最悪に落ち込む。まして後半は、清盛の所業からして、もっと率が悪くなるにちがいない。

どうせテレビマンたちの浅薄な発想だ。武士の時代を終わらせた龍馬が当たったから、貴族の時代を終わらせた清盛で行こう、くらいのものか。だが、清盛がどうやつだったのか、よく知らなかったのだろう。貴族の時代を終わらせると言ってのし上がりながら、いったん地位を握ると、自分自身はもちろん身内ばかりを貴族にして、他の武士たちを権力と武力で弾圧しまくり、それでかえって時代を戦乱へと混迷させ、一族もろともまで滅亡させた。同じ武士から貴族になったにせよ、長引く戦乱を収拾し、徳川へと続く四百年の平和の礎を築いた秀吉とはわけが違う。

今の時代、こんな清盛みたいなやつらがあちこちにいる。山猿のような田舎者のくせに、若い頃から赤にかぶれ、財閥解体・天皇打倒を叫びながら、主義のためと偽称して周囲の仲間を搾取しまくり、いつの間やら自分自身が小天皇になって、世襲王朝を開いてしまった連中。なんだ、ありゃ? だったら、最初から、余計なことなど言わなければよかったのに。

産業界はもちろん、学術や芸術、文化まで、戦後のどさくさでできた「名門」ばっかり。だいいち、いまの政権からして、清盛そっくり。自民党の官僚政治を終わらせる、と言って出てきたが、自分たちが自民党に取って代わっただけ。選挙公約なんか知らんぷりで、政策や態度まで自民党のものをまるまる引き継いだ。さらにタチが悪いことに、内実は全学連の残党だらけで、バックに官公労みたいなのがくっついているから、以前にも増して政府と役人を肥大させ、増長させ続けている。

いま、時代の敵、守旧派の正体は、貴族でもない、武士でもない、財閥でもない、天皇でもない。まさに清盛のような、チンピラ無法者、インチキ詐欺師の成り上がり、成り代わり連中だ。やつらは、伝統も無いから礼節も無い。教養も展望もない。保守と革新のダブルスタンダードを好き勝手に使い分け、目先の利益で軽挙妄動して、口先方便のやりたい放題。幕末維新、明治戦前の時代のリーダーのように、身を捨てて天下国家として生きることなど、はなからムダとバカにしきっている小人物たち。

どこぞの製紙会社、どこぞの電力会社のトップたちを見てみろ。オレって頭いい、なんて思っているやつほど、バカはいない。清盛のように、うまく立ち回って天下を取ったように見えても、足下から崩れまくり、先人たちが苦労して築いてきたすべてまでをも失う。いまだ表沙汰になってはいないが、そんな会社や組織は、この国にごろごろしている。なんとかツケを先送りして、見せかけだけの権勢を誇ってはいるが、もはや時間の問題。最初から古い連中のお仲間に入れてもらう気もない頼朝や龍馬、西郷のような本物の武士、本物の志士が挙兵したら、ひとたまりもあるまい。

維新とは、縦糸を断ち切ること。これまでの経緯や恩讐を一刀両断にすること。とはいえ、二世、三世も、バカばかりではあるまい。一代で財をなした功績はともかくも、親たちの人間としての浅ましさにはウンザリしているという者もいるだろう。身代を潰しても、時代を変えるようなウツケ者こそ、期待の人物。さあ、今日が建国の日だ。


by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士 (大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン)  
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