純丘曜彰教授博士: ニュースの蜂

『朝まで生テレビ!』の元ブレインが、硬派ジャーナリズムの精神に基づき、
浮き世の暇つぶし、憂ばらし、肝だめしに、大手の新聞やテレビがひよって
伝えないネタを、勝手取材、執着調査、偏屈考察で突き刺しまくります。 

2012年06月

ストローアートと『とくダネ!』の人権侵害案件


/『とくダネ!』がストローアートをくさした、といって、当銀美奈子女史がBPOに人権侵害だと申し立てた。だが、そもそも女史はプロで「街角の芸術家」ではない。とはいえ、女史は、ストローアートをかつてホビーと認めていた。こんなの、どっちもいいかげんにしろよ。BPOももっとやることがあるだろ。/


 2012年1月9日、フジテレビ系列の『とくダネ!』で、「知られざる街角の芸術家」として紹介された当銀美奈子女史がBPO(放送倫理・番組向上機構)に申立を行い、6月19日、審理が行われた。申立は、「過剰で誤った演出とキャスターコメントにより、独自の工夫と創作で育ててきたストローアートと私に対する間違ったイメージを視聴者に与え、私の活動と人権を侵害した」というもの。来月も双方からのヒアリングというが、さて、アートと人権、ねぇ。。。
 
 このコーナーでは、ストローアートの当銀女史の他、バナナアートの山田恵輔氏、ノリ弁アートの西岡千恵理女史、石細工アートの伊藤博敏氏の四名が紹介され、スタジオトークで言いたい放題。その中で、キャスターの小倉智昭が、伊藤氏以外は「趣味の域」とコメントした。
 
 なんでこんなことになるのか、というと、「キャスター」なんてったって、実際はただの司会者で、放送内容に関してスタッフ丸投げで、きちんとした事前の打合せをしていないから。本来、キャスターは、企画会議の段階でネタを取捨選別し、採り上げ方、取材の仕方も含めてスタッフに指示する番組の総責任者。だが、日本の場合、一般に、化粧をしながらおべんちゃらとともに今日のネタの説明をスタッフからざっと聞き、ふんぞりかえって最後にスタジオ入りして、ただ好き勝手に言い散らすだけ、ということが多い。これじゃ、ゲストコメンテーターと大差ない。(小倉がどうかは知らんが。)
 
 そもそも「知られざる街角の芸術家」ってったって、当銀女史とか、伊藤氏とか、作品展もやっているし、本も出ているし、独創性もあるし、この業界では国際的に知られているプロだぜ。スタッフやキャスターのおまえらが知らなかっただけだろ。だいいち、おまえら、知っている日本の現代芸術家なんているのかよ? こんな二人を混ぜ込んで「街角の」ってのからして、もともとヤラセじゃん。少なくともこの二人に関しては、もともとまちがいなく「街角」のアーティストじゃない。

 じゃあ、当銀女史の申立が全面的に正しいのか? 第14回ホビーショーで、文部科学大臣賞を取ったのは、さて誰だったのか? これじゃ、自分で、自分のやっていることはアートじゃなくてホビーだ、って認めていたも同然じゃん。ストローアートはアートだ、シロウトの趣味の域と一緒にされちゃ困る、と言うのなら、最初からそんなシロウト向けの趣味の域に応募して、最高大賞なんか取るなよ。いや、その後に腕が上がって、とかいう話ではない。ストローアートという分野そのものがアートかホビーか、という問題に関して、あなた自身も、かつてそれをホビーだと認めて、その立場を享受していたのだから、あなたの作品の出来がどうあれ、ストローアートというものがホビーだと人に言われて、怒れた筋合いでもあるまい。まして、作品の出来に関して、ほんとうにアーティストなら、たとえどんな最低のドシロウトの論評であれ、笑って受け流すもんだ。有象無象の評価ごときで、作品そのものの価値なんか変わらない。どんなドシロウトにも作品を評価する権利はあるし、どんなアーティストにもそれを否定する権利は無い。そんな基本的なプロの厳しさもわかっていないから、シロウト臭いって言われるんだよ。
 
 それにしても、BPOは、こんなのも「人権」問題として審理に採り上げないといかんのかねぇ。もっと問題のあるネタやコメントがテレビに溢れかえっているじゃん。申立の有無にかかわらず、もっと積極的に、みずから問題を見つけて、「勧告」「指導」などを行い、問題の発生を事前に防ぐ必要があるんじゃないの? 今回の「街角の」みたいな企画は、上述のようにプロのアーティストが混ぜ込まれている以上、放送倫理としては、ヤラセとして完全にアウトな事例だぜ。
 
(よくわかんない人のために、もっとはっきりわかりやすく言ってしまうとね、一発、世間に広く売り出してあげますから、とかなんとか適当なことをスタッフが本人に言って、シロウト発掘コーナーに混ぜ込んでシコミ(あくまで、ヤラセじゃない、って言うならね)をかましたのに、出演者たちとの打合せが悪くて、逆効果になっちゃったんで、いまだに揉めている、ってな話らしい。新人タレントを売り出すのにシロウトのど自慢を利用しようとしたら、段取り違いで審査員が鐘一つしか鳴らさず、話が違うだろ、って事務所サイドが局にねじ込んでくるのと同じ。このひとはプロのシコミですから、うまく持ち上げてください、って、先にきちんと出演者に伝えていなかったスタッフが悪い。)
 

by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士 (大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン)  

ネットサーバーのアドレスは地獄の一丁目


/ファーストサーバ社が5000社分以上ものデータを消失させた。経理関係のデータを失った会社は、大騒ぎだろう。ネットなど、しょせん通信手段で、リアルな実体なバックアップがあればこそ。さて、ブログやSNSの他に、あなたにリアルな実体のバックアップはある?/


去る6月20日、ファーストサーバ社が有名企業5000社分以上のデータ消失をやらかした。今現在も復旧の目途は立っていない。それどころか、23日、復旧は不可能、それぞれの顧客が自分でなんとかしてください、と白旗を揚げた。小林製薬のように自力復旧したところもあるが、ある大学などは、いまもホームページは完全消失のまま。学生の個人情報、学籍管理、成績管理のデータベースなどもすべてサーバー側で動的に保管していたとしたら、大変なことになる。まして、経理関係のデータまでサーバーの中で管理していた会社、そんな会社と取引していた会社は、この月末は支払と取立で大騒ぎだろう。にもかかわらず、新聞でも、テレビでも、ネットでも採り上げない。それは、このサーバー会社が、巨大広告スポンサーの大手携帯会社ソフトバンクの孫会社、大手検索会社Yahoo Japanの子会社だから、なんて、業界ではウワサされている。
 
この数年、「クラウド」だとか言って、なんでもかんでもネット上のサーバーでデータ管理しましょう、そうすれば、社内で物理的サーバーを管理する人件費やリスクが削減できるし、日本中のどこの支社からでもアクセスできるようになる、と、ハーメルンのIT男たちが笛を吹いて流行らせようとしてきた。が、データを掠って行って、みんなどこかに消しちまった。まあ、バカじゃなければ、幸いに今回は無傷だった顧客会社も、こんな管理の杜撰なサーバー会社からは手を引いてしまうだろうから、親の検索会社、祖父の携帯会社が支えない限り、最低限の補償能力も無くなる。それ以前に、全データを消失してしまった自分の会社の方が来月まであるかどうか。
 
悪質なのは、バックアップなどの手間が無くなる、というのが、このサーバー会社の売り文句だったこと。原子力発電所や資産運用会社ほどにも、サーバーの管理体制は、目で見てわかるようなものじゃない。リスク分散のために、同じところにバックアップ用の物理的サーバーをまとめて置いてあるわけじゃなし、バックアップの取り方も、方法や頻度など、説明どおりに行われているのかどうか、ずっと見張っているわけにもいかない。今回の事故の原因は、いまだ不詳だが、プログラムのバグ、その初動対応の失敗、それによって白紙になったデータの方がバックアップに上書きされてしまった、というような三重以上の問題があったのではないか、と推察される。
 
その前の「Web 2.0」もそうだったが、今度の「クラウド」も、流行語のための流行語のようで、最初からなんともウサンくさいニオイが立ちこめていた。年来のITゴロみたいな連中が、そんなことも知らないの、と、人を小馬鹿にした調子で、あちこちで講演をして歩いていたが、リアルな実体があるのやら、無いのやら。さすが消臭元の小林製薬あたりは、ウサンくさいニオイにも敏感で、自社の方にも完全バックアップをしていたようだが、見ようによっては、類は友を知る、ともうがちたくなる。


私なんぞは、もともと消えて当然という程度のヨタ文くらいのものしかデータが無いのでさして問題はないが、真摯にブログを書いて多数の読者を抱えていらっしゃるアルファな諸先生、ソーシャルネットワークサービス以外に旧友たちのメールも電話も知らないままの皆さん、それで大丈夫なの? ブログ会社だの、SNS会社だのがあなたのデータを消失したら、あなたの人生も無くなっちゃうんじゃないの? 地震かなにかでしばらくネットにつなげなくなっただけで、あなたの存在そのものが消えちゃうんじゃないの?
 
ネットは、しょせんメディア。つまり、エソラごとの通信手段、広報手段。リアルにガツンと実務のバックアップがあってこそ、ネットでそんな冗談もやってられる。それは、会社でもそうだ。たとえ顧客が会社を知るきっかけがネットだったとしても、顧客との関係は、実物商品によってのみ担保される。音楽のようなデータコンテンツでさえ、握手という生身のライブの裏付けがあるものだけが売れる。ネット上だけの存在など、幽霊も同然。いいかげんITの笛吹き男たちの夢みたいな嘘に踊らされるのは止めて、リアルなバックアップの実体の方を充実することに全力を注いだ方がいいんじゃないの? 


by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士 (大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン)   

Fラン大学はお買い得


/少子化のせいで、いま、良い大学なのに、事実上の入試フリーというところが続出している。学生仲間や教育体制の質をきちんと見分ければ、良い先生の下で勉強できる機会はきみにも開かれている。/


そりゃ、どうせ入るなら有名大学の方が見栄えもいい。だが、小学生から勉強漬けでないと入れないようでは、カネと時間と努力のコストパフォーマンスが悪すぎる。そもそも、どうやったって今からでは間に合うまい。だが、スーパーにも特売品があるように、じつは大学にも、それがある。Fラン大だ。SABCDEよりもっと下の、入学フリーのFランク大学。
 
Fラン大学であっても、DQN大学やBSE大学と、かならずしも一致しない、というところが重要だ。BランクでもDQN大学(学生がダメダメ)はあり、AランクでさえBSE大学(教員がダメダメ)はある。たとえば、付属高校のあるBランク大学は、かなり怪しい。定員のほとんどを付属や推薦、AO入試で埋め、外から入るのをやたら厳しくしているだけで、中はバカばっかだったりする。ひどいところは、一般入試でトップだけを合格させて偏差値を稼ぎ、実際は残りの全員も補欠で入学させていたりする。また、Aランク大学でも、政府委員会だのマスコミだの国際学会だので忙しい、授業料が安いんだから学生は奴隷として働いてオレに尽くせ、などというような人格破綻者の教員だらけ、ということもある。
 
DQNの危険性が高い大学の特徴
 1 大学名と学科名で検索するとスポーツ関連の話しか出てこない。(まともに学生が集まらず、高校の体育会の推薦で掻き集めている。授業には誰も出てきていない。)
 2 図書館に専門難解な英文雑誌が並んでいる。(図書館に来る学生なんかいないので、教員が好き勝手に図書予算を消化している。)
 3 5時を過ぎたら真っ暗で、電気のついている部屋がどこにも無い。(ゼミやサークルなど、自主性のある学生がいない。)
 
BSEの危険性が高い大学の特徴
  1 学部長に専門著書が無い。(まともな大学人事ではない。彼が関与している配下の教員人事も嫉妬と縁故でデタラメ。学部長の名前でネット検索をかけてみよう。)
  2 60歳以上の准教授、50歳以上の講師がいる。(陰湿なパワハラが横行し、まともな若手が逃げ出した結果。)
  3 教員の持ちコマが週9つ以上。(アカデミックな人脈が無いので非常勤の手配ができず、専門外の科目まで担当している。シラバスで担当教員を調べればよい。)
 
これらのことを逆に言うと、Fランクなのに、DQNやBSEから免れているお買い得な大学もある、ということ。少子化のせいで、良い大学なのに、入試でズルもしてしないから学生の集まりがいまいち、というところは、いま、あちこちにある。研究や文化系の話題が豊富で、図書館が学生向きに配慮され、夜までさまざまな活動が行われているならば、その学生たちは明るく前向きだ。学部長に専門研究者として一流であり、教員の年齢構成のバランスが取れ、非常勤も多く使っているなら、教育体制も整っている。


知識を得るだけなら、今どき本やネットで充分。技術を習うなら専門学校の方がいい。言うまでもないことだが、人間の価値は学力では計れない。知識や技術がいくらあっても、人間としてダメならダメだ。大学の魅力は、結局は、教員だろう。慣れない地にはガイドがいた方が心強いように、人生にもガイドは必要だ。在学中はもちろん卒業してからも、「先生」は利害関係無しに、良きメンター(助言者)になってくれる。
 
利害関係以前に、大学の教員本人からして、浮き世離れしている人が多い。世間一般ほど、出世したい、カネ儲けしたい、などとは思っていない。そんなのだったら、最初から大学教員などという職は選ぶまい。むしろ、家の近くで静かに学生たちと研究をしたいという教員も少なくない。親族の介護などの事情で地元を離れるわけにはいかない教員もいる。そういう教員は、大学の世間の評価など、あまり気にしていない。自分が自分の研究に没頭できるなら、そこが楽園だから。
 
大学に入る、というのは、先生につくことだ。関心のある学科で、気になる先生がいたら、メールでも書いてみたらいい。返事もくれないようなら、そんな先生についてもロクな指導は受けられまい。まあ、一度、研究室に遊びにおいで、と言われ、会いに行ってみて、先輩たちとも話をして、それで気に入ったなら、そここそがきみを本当に人間として育ててくれる大学だ。
 

by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士 (大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン)  

増税はドルに消える


/ユーロが混乱した場合、ドルを買い支えようにも、巨額の含み損を抱えた日本の「外為特会」の方が世界通貨危機のトリガーになる危険性がある。これを防ぐには、一般会計を増税して、それを「外為特会」の補填に使うしかあるまい。だが、そんなことをしたら、民間の企業や個人は、二重の意味で荒波に曝されることになる。/


なんで増税を急ぐのか。ギリシアのユーロ離脱が時間の問題となり、為替の激震が襲ってくるのがわかってくるから。このとき、ドル・円も大波を被って乱高下する。それを鎮めるためには資金が必要だが、ただでさえ昨年夏には、年来の財政赤字のために米国債が格下げを喰らっており、自力で支えられるかどうか。
 
べつに何のリークデータがあるわけではないが、この国際情勢からすれば、日米間になんらかの密約があって当然だろう。つまり、日本の増税分のすべては、直接、間接に、ドル通貨と米国債の購入で、またたく間に蒸発する。
 
経緯を説明すると、2003年頃、114円の円高で法外な介入をやった。2007年頃に124円の円安に戻ったところで解消すればよかったのだが、その機を逸した。このため、今の70円台では、外貨建てに少なくとも40兆円もの含み損を抱えている。もっとも、この資金調達は、「外為証券」による借入で賄われており、「外為特会(外国為替特別会計)」として、一般会計とは別枠になっている。だが、長期トレンドとしてはドル安だ。AJIじゃあるまいに、いつか120円台に戻って、手持ちの米国債すべてを日本が市場に売っ払って、この大損を取り戻せるってか? んなわきゃあるまい。で、いま、ヨーロッパの激震が来たら、円が跳ね上がる危険性がある。このとき、巨額の含み損を抱えたまま、発行限度額無しで日銀もろとも介入に突っ込んでいく「外為証券」がつまずいたら、それこそ世界的通貨危機のトリガーだ。となれば、一般会計の増税の税収見込で「外為特会」を補填保証し、ドルと米国を支えざるをえまい。直接、間接、とはそういうことだ。
 
まるで事故を起こした原子炉に水をかけて冷やすような話だ。(外為特会の含み損も、基軸通貨の米ドルが落ちることなど絶対にありえないから問題無い、って、どこか他でも聞いたようなことを、これまでずっと言ってきた。)米国の双子の赤字体質が容易に解消するとは考えられないし、それを小国日本がちびちびと支援するのでは、いくらあっても追いつくとは思えない。ドイツはギリシアを支えているとはいえ、いよいよとなれば切り離すこともできるが、日本は米国と一蓮托生。国際協調したところで、政府セクタごときが、巨大な世界経済の奔流を制御できる時代ではなくなってきているのに、なにもしないわけにもいかない、と、みんなでバンザイ突撃。そっちの方が、よっぽど恐い。

ドイツのように正直に話せば、怠け者のギリシアを救うために自分たちが増税されるいわれはない、と騒ぎになる。そうでなくても、日本だって、とんでもない財政赤字を抱えているのに、放漫財政とローン天国、マネーゲームの享楽の末にこうなった米国を、なんで勤勉な日本人が助けなければならんのか、となるのは目に見えている。だから、福祉の名目を掲げている。だが、福祉について、この日本の財政赤字状況では、もともと目途なんか、そのかけらさえも立ってはおるまい。
 
瀕死のホテルは、設備改装、サービス向上、経営再建を名目に、銀行から新たな資金を無心するのが常套手段。だが、カネさえ入ったら経営者はトンズラだろう。とはいえ、内情をよく調べもせず、こんなホテルに追加資金を出す銀行の方が悪い。さて、この国だ。実際、この政権、この総理は、トンズラする、というより、次の選挙で駆逐される。こんな連中の絵に描いたモチに追い銭を出す国民は、なんて幸せなことか。
 
いますべきことは、荒波に備えること。ドルはもちろん円もひどい目に遭う。国は転覆しないようにするので精いっぱい。「国体護持」「日米存続」のためになら、躊躇なく民間にツケを回す。だから、民間の企業や個人は、二重の意味で自己防衛を考えるしかない。国は、あなたを利用するが、あなたを守ってはくれない。荒波はもうすぐだ。さて、どうしたらいい?


by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士 (大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン)  

生活保護世帯こそ大学進学を


オープンキャンパスだった。将来の夢を楽しげに語る高校生たちを見るにつけ、ああ、この背後に経済的事情で大学進学を諦めざるをえない家庭の子がどれほどいるのだろう、と気にかけずにはいられない。バブルが弾けて十数年。その後の長期経済停滞の結果、いま、社会の貧困が再生産されつつある。親の低収入が子の勉強の希望を断ち、彼らに最初からハンデを負わせる。

勉強は贅沢なのか。生活保護世帯の子は、大学に進学することは許されていない。分不相応の進学なんか諦めて、失業者としてプラプラやっているなら、そのまま生活保護を出し続けてやるよ、と行政は言う。だが、どうしても進学したいなら、保護対象から外れ、世帯を分けて自活しろよ、と行政は言う。しかし、この最悪の不景気に、十八そこそこの若者に学費も生活費も稼げ、仕事と学業を両立させろ、というのは、まず不可能だろう。これでは、行政こそが、失業と貧困の連鎖固定を推し進めてしまっている元凶だ。

親世代の経済的劣勢を子が挽回するためには、学歴は、重要な前提条件のひとつだ。もちろんスポーツや芸能で一発大逆転を狙う道もあるだろうが、それはあくまで例外。地道に勉学に励み、資格を取って定職に就くチャンスこそ、生活保護世帯の子に与えられるべきものではないのか。

新聞奨学生という手もあるのでは、と言うかもしれない。たしかに、それは返還不要で学費を出し、給与もくれる。だが、今の大学は、午後も夕方遅くまで講義や実習が詰まっている。夕刊配達とは両立しえないのだ。そのうえ、部数激減で新聞の営業所も昔のような余裕を失ってしまっており、かならずしも勉学や生活に適した環境では無くなっているところもあると漏れ聞く。

一部の企業が、大学の一年生でも内定を出すと言う。これは、就職まで保証されているのだから、新聞奨学生よりも有利だ。どうせなら、学費や生活費のままならない大学進学希望の高校三年生にも内定を出してやってほしい。講義や実習の後、夜でも安全安心に働けるなら、どんな企業でも、もっと内定を増やしてほしい。もちろん、大学も、学費減免などの措置は行っている。次世代を担うべき有為の人材の育成は、もはや行政には任せてはおけない。たとえ転社するとも、社会全体にとって必要不可欠の重要な投資だ。

もし誰の支援も受けられないとしても、けっして夢を諦めるな。世界の大学事情からすれば、米国は十九歳半、ドイツで二一歳過ぎ、スイスだと二二歳近くなって入学するのが当たり前。卒業するまでに、途中で休学して十年近くかかる人も珍しくはない。一方、日本の大学は、ほとんどが十八、九で入学し、定期四年で卒業する。つまり、もともと日本の大学生の全員がインチキの飛び級をやっているようなもの。勉強をするのに、それほど急ぐ必要もあるまい。むしろ社会経験があってこそ、勉強の内容にも理解が深まる。だから、とりあえず働いて、できるかぎり貯金し、それを生活費にして学費減免の大学に入る、カネが足りなくなったら休学して働き、また復学する、という道もある。働きながら通信制で学び、余裕が出来たら全日制へ転科してもいい。

因果は断ち切らなければいけない。あなたは、貧乏でもいいさ、大学なんでムダさ、と嘯くかもしれない。だが、あなたには、あなたの子まで絶望させる権利はない。いつか生まれてくるあなたの子のためにも、あなたの親があなたに課した不運を、あなたが自分で断ち切らなければならない。そうであってこそ、あなたは安定した家庭を作り、あなたの子に、この世に幸せに生まれるチャンスも贈ることができる。こんな世の中がこのままでいいと思っている人間ばかりではない。未来はある。けっして諦めるな。


by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士 (大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン)  
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