純丘曜彰教授博士: ニュースの蜂

『朝まで生テレビ!』の元ブレインが、硬派ジャーナリズムの精神に基づき、
浮き世の暇つぶし、憂ばらし、肝だめしに、大手の新聞やテレビがひよって
伝えないネタを、勝手取材、執着調査、偏屈考察で突き刺しまくります。 

2015年07月

新国立競技場のデザインは若者たちに選ばせよう

/競技場は、日本の、そして世界の若者たちが集い、人間の尊厳を歌い上げる聖地だ。その建設費は、実質的には国の借金となり、結局、若者たちが自分たちで払うことになる。使いもしない、カネも出さない年寄りたちは、その選定から手を引くべきだ。/

 選び直しだ。もともと応募作に規定違反があり、当然、評価から外すべきものを追認してしまったところからおかしくなった。フェアプレーこそが最高 の理念であるべき競技場のデザインコンペがフェアプレーの精神に反していたなど、言語道断。こんな不正を犯した審査員たちは、審査員としての資格が無い。 くわえて、こんな不正を犯すような審査員たちを審査員に選出した人々も、二度とこの件に関わるべきではない。違約金、という意味でなら、たとえその後にい くら審査員が追認したとしても、もともと規定違反の作品を応募してきて選定をここまで混乱させた、プロとしての良識に欠けるデザイナーの方に請求したいく らいだ。


 なんにしても、競技場は、遠からず死んでいくババアやジジイが名を残すための墓石や古墳じゃない。まして行政とゼネコンが利権を貪り合うお宝山でもな い。そこは、日本の、そして世界の若者たちが集い、持てる力の限りを発揮して、人間の尊厳を歌い上げる聖地だ。そこでは、努力のうちに見出される喜び、よ い手本となる教育的価値、社会的責任、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重に基づいた生き方が創造されなければならない。年寄りたちが好き勝手に作ってし まって、その借金まで彼らに負わせる、などということがあっていいわけがない。


 あれだけ戦後の発展を重ねてきていながら、残念ながら、いまの日本は、いまの若者たちに、ポンと現ナマで、彼らの活躍と活動の場を作ってやることができ ない。実質的には、すべて借金で賄うことになる。つまり、回り回って、若者たちが自分たちで、その建設費を税金として払っていくことになる。正直なとこ ろ、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。せめて、彼らが払って作って使うものである以上、彼らに選ばしてやりたい。


 ポストモダンだ、挑戦的構造だ、建築学における国際的評価が、などという能書きは、もう結構。評価というのは、次の次の時代がするものだ。終わっていく 世代の意見などというものは、屁のつっかえにもならない。同時代に高く評価されるものなど、後世には、凡庸な亜流、ないし、奇抜なだけのやり過ぎの悪趣 味、と見なされるのが一般的だ。逆に、本当に時代を先取りしたものは、むしろ同時代では評価しきれない。


 審査員たちは、例のデザイン案を斬新だと思ったらしいが、私の世代ですら、あれは、レトロフューチャー、過ぎ去った未来、昭和人たちの妄想の21世紀、 という印象だった。あんな古くさいものを、いまさら本気で作るのか、と、驚いた。そもそも、日本に作るのに、まったく日本的じゃない。もちろんデザインを するのが外国人でもかまわないが、あれだけの巨大建造物に日本的な美しさがかけらも無いのであれば、そんなもの、日本のまん中に作ってほしくない。どこか 外国でやってくれ。


 いや、私も、もはや若者たちより先にこの世を去って行く側。それも、彼らにこの国の積もり積もった莫大な借金を負わせて。自分の意見を言うのは止めてお こう。競技場は、若者たちが使い、それも若者たちがその建設費を払う。使いもしない、カネも出さない年寄りたちは、その選定から手を引くべきだ。彼らに、 自分たちの未来、自分たちの聖地のデザインを選ばせるべきだ。たとえそれがどんなデザインのものであろうと、それが予算内で収まり、機能性で足りるもので あるのなら、我々は一切、よけいな口出しをせず、彼らの夢がそのまま実現できるように、サポートしてやる、というのが、筋ではないのか。



(大 阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲 学、メディア文化論。著書に『夢見る幽霊:オバカオバケたちのドタバタ本格密室ミステリ』『悪魔は涙を流さない:カトリックマフィアvsフリーメイソン 洗礼者聖ヨハネの知恵とナポレオンの財宝を組み込んだパーマネントトラヴェラーファンド「英雄」運用報告書』などがある。)

新国立競技場の正体は防災防衛施設?

/ひょっとすると、オリンピックより先に、東京を新宿から有明まで横断する国家的危機管理のための巨大地下道プロジェクトがあって、新国立競技場は、そのための残土排出拠点、主要人物の一時待避壕として、法外な予算規模に膨らんでいるのではないか。こんなむちゃくちゃな妄想陰謀論でも考えないと、どうにも辻褄が合わない。/

 人は自分より大きいものを見ることができない。あんなむちゃくちゃな計画を立てるなんてバカだ、と言いたくなるのはわかるが、バカと罵倒して済ま すには、あまりに話がおかしい。あの変な元首相一人が言っていることなら、それもありうるだろうが、日本の各省のトップクラスの官僚が雁首揃えて、そこま でほんとうにバカだろうか。


 いくらキール構造がうんぬん、資材高騰がうんぬんでも、他の大型建設工事と比較して、2520億円という予算規模は異様だ。オリンピックのため、というより、国家最期の命運を賭けた戦艦大和のよう。(ちなみに、最新鋭イージス艦あたご型でも1475億円。)


 もともと神宮外苑は青山練兵場と陸軍大学。東京都庁舎や代々木公園(旧代々木練兵場)・明治神宮(旧南豊嶋御料地)から、代々木の谷を挟んで新宿御苑、 慶応大学病院(旧陸軍輜重兵営、地下施設あり)、問題の神宮外苑、そして、赤坂御用地(東宮御所)、再び赤坂見見附の谷を挟んで、ニューオータニ・ガーデ ンコート、16年完成予定の東京ガーデンテラス、国会と首相官邸、内閣府、霞ヶ関官庁街、そして皇居が連なっている。また、東の晴海では、東京オリンピッ ク選手村が数千億円規模のプロジェクトとして予定されている。じつは、NHKも、オリンピック後に建て替えを予定しており、その予算規模は、新国立競技場 を上回る3400億円。それも、神宮前(明治神宮と神宮外苑の間)への移転を東京都と交渉中。さらに、オリンピックも終わった後に、皇居の東の銀座から、 選手村跡地を抜け、有明(東京ビックサイト・東京臨海防災公園)まで、2000億円でわずか5キロ弱の地下鉄新線が予定。


 東京23区の昼間人口は一千万人を越える。箱根や富士山が噴火したら、まして直下型地震、福一大爆発、無慈悲ミサイル直撃があったら、パニックは必至。 東京中央環状線内側の都心は、完全麻痺。大火災、火山灰や放射能では、ヘリすら飛べない。この極限状態でなお国家を維持し、組織対応を統制するために、主 要人物たちを結集し、都心から脱出させる危機管理が無い方がおかしい。つまり、もともとオリンピックなど、表向きの口実で、むしろ新宿や代々木から有明ま で、皇居や国会、首相官邸を通って、東京の地下を東西に横断する奇妙な大プロジェクトが以前から先にあり、そのために、その線上に、オリンピック関連を中 心に、ばらばらの超大型建設工事を並べた、というのが真相じゃないのだろうか。


 新宿・代々木から有明まで、わずか15キロ。青函トンネルが25年がかりで54キロ、5384億円。いやいや、当時とは物価が違う、と言うなかれ。むし ろその後の技術革新で、その気になりさえすれば、第二青函トンネルも、同じく5000億程度で出来そうだとのこと。つまり、あちこちの予算を少しずつつま み食いして予算を捻出したら、意外に簡単。ただし、そんなもので世界最大規模の大都市の大量の都民一般まで救えるわけでもなく、国民の理解を得ることは無 理。となると、こうして別の名目で大型建設工事をゴリ押しして、とにかく作ってしまえ、ということにもなるのかも。


 新国立競技場が、ほんとうにバカどもが考えた、ただの金喰い虫のボンクラ競技場にすぎないのかどうか、その真相は、それこそ秘密保護法の領域。ドン・キ ホーテ並みのスパイ映画かぶれの妄想陰謀論。しかし、いずれにせよ、災害だの、戦争だの、万が一の状況において、危機管理として、国家を存続させるため に、主要人物たちのみを結集脱出させる施設が必要かどうか。もし必要だとすれば、リスクに対する保険として、どれくらいの予算で、どれくらいの施設までな ら許容できるのか、そのことについては、もっとオープンに広く議論しておいてもいいのではないか。


(大阪芸術大学芸 術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア 文化論。著書に『悪魔は涙を流さない:カトリックマフィアvsフリーメイソン 洗礼者聖ヨハネの知恵とナポレオンの財宝を組み込んだパーマネントトラヴェラーファンド「英雄」運用報告書』などがある。)

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